波瀾万丈・・・人生の歌 特選集

北島三郎 波瀾万丈・・・人生の歌 特選集歌詞
1.波瀾万丈

作詞:倉内康平
作曲:原譲二

人に無情の なげき節
背中あわせの 裏表
歩き続けた 人生を
これでいいかと ふりかえり
波瀾万丈 ああ 振りだしで

誰もひとつの 道がある
続くこの坂 はてしなく
苦労くの字に こえて行く
影に女房の 涙あり
波瀾万丈 ああ 二人連れ

花の命が 終わるとき
人は散っても 名を残す
今日がどんなに 辛くても
生きる望みを 明日にかけ
波瀾万丈 ああ 夢暦


2.峠

作詞:木下龍太郎
作曲:原譲二

ここでいいなら 頂上だけど
先を見上げりゃ まだ中半(なかば)
男なりゃこそ 他人(ひと)より重い
夢を背負って 登りたい
峠と言う名の 一生を

命綱より 離せぬものは
惚れたお前の 心杖
こんな男の 明日に賭けて
共に歩いて 呉れるのか
峠と言う名の 一生を

花と散るとき 男は見たい
生きた証の 足跡を
一歩一歩を 大地に刻み
天を目指して 登りたい
峠と言う名の 一生を


3.男一代

作詞:原譲二
作曲:原譲二

神が俺らに 与えてくれた
命と言う名の 預りものを
護り通して 生き抜くからには
人に優しく 情けにあつく
男一代 燃えてやる

苦労かけるが 許して欲しい
今更どうなる 後へは引けぬ
進むばかりが 道ではないが
山より高く 海より深く
男一代 燃えてやる

時世時節(ときよじせつ)が 変わりはしても
誠の一文字 こころに抱いて
決めた道なら 迷いはしない
胸にきざんで 腹におさめて
男一代 燃えてやる


4.橋

作詞:仁井谷俊也
作曲:原譲二

この世には 眼には見えない橋がある
親子を繋ぐ 橋がある
這えば立て 立てば歩めと
大事に育て…
親から旅立つ 日が来ても
一生忘れぬ 橋がある

世間には 縁という字で結ばれて
夫婦で築く 橋がある
倖せの 春はいつでも
足踏みだけど…
ふたりでいたわり 庇いあい
死ぬまで寄り添う 橋がある

男には 夢を拳で握りしめ
ひとりで渡る 橋がある
向かい風 今日も行く手を
邪魔するけれど…
勇気・誠実(まごころ) この汗で
明日へ架けたい 橋がある


5.還暦

作詞:木津夢人
作曲:木津夢人

若き時代を 今ふりかえり
歩き続けた この道は
山谷ありの いばら道
お前と供に 分ちあい
生きて節目の
あぁ人生 今ここに還暦を

歳の流れも 浮世の義理も
波間に消えて 浮きしずむ
真心結ぶ きずな糸
この先供に 夫婦道
我慢しんぼう
あぁ人生 今ここに還暦を

両手(ふたつ)重ねて 我慢の坂を
いくどとまった こともある
人生苦労 まだなかば
再び供に たしかめて
いくえちぎりの
あぁ人生 今ここに還暦を


6.歩

作詞:関沢新一
作曲:安藤実親

肩で風きる 王将よりも
俺は持ちたい 歩のこころ
勝った負けたと 騒いじゃいるが
歩のない将棋は 負け将棋
世間歩がなきゃ なりたたぬ

あの娘いい娘だ 離れもせずに
俺を信じて ついてくる
みてろ待ってろ このまますまぬ
歩には歩なりの 意地がある
いつかと金で 大あばれ

前に出るより 能なし野郎
吹けば一番 飛ぶだろう
だけど勝負は 一対一よ
王将だろうと 何だろと
後にゃ引かない 俺のみち


7.根っこ

作詞:鈴木紀代
作曲:原譲二

咲いた花だけ 人は観て
きれいな花だと もてはやす
花には枝あり 幹がある
目にこそ届かぬ その下に
忘れちゃならない 根っこの力
蔭で支えて 土ん中

上へ上へと 背のびすりゃ
嵐で根こそぎ 倒される
前、横、後ろに 気を配り
足げにされても 踏まれても
愚痴さえ言わずに 根っこは耐える
陽の目一生 見なくても

裸さらして 生きる木は
雷さんにも どやされる
涙は裂けても こぼさない
我慢を肥料に 今日もまた
生命を枯らさぬ 根っこがあるさ
明日にでっかい 花となる


8.山

作詞:星野哲郎
作曲:原譲二

流れる雲の 移り気よりも
動かぬ山の 雪化粧
ガンコ印の 野良着をまとい
生きる師匠(おやじ)の横顔に
おれは男の山をみた
おれもなりたい 山をみた

けわしい山に 登ってみたい
自分の道を 極めたい
それは男の 見果てぬ夢か
山に登れば その山の
山の向こうに 待っている
山の深さを 知るばかり

目先のことに うろちょろするな
昨日と同じ 今日はない
それが師匠(おやじ)の 口癖だった
たった一度の 人生を
花にするのも がまんなら
山にするのも またがまん


9.ギター仁義

作詞:嵯峨哲平
作曲:遠藤実

雨の裏町 とぼとぼと
俺は流しの ギター弾き
“おひけえなすって
手前ギター一つの
渡り鳥にござんす”
峠七坂 手を振って
花の都へ 来てから五年
とんと うきめの 出ぬ俺さ

風の冷たさ 身に沁みる
俺は落葉か ギター弾き
“おひけえなすって
手前おけさおけさの
雪の越後にござんす”
故郷想えば 初恋の
死んだあの娘も 生きてりゃ廿才
俺もあん時ゃ うぶだった

情け横丁 今晩は
俺は流しの ギター弾き
“おひけえなすって
手前宿なし雀の
流れ者にござんす”
暗い酒場の 片隅で
そっと笑った 空似の人の
何故か気になる 泣き黒子


10.標

作詞:鈴木紀代
作曲:原譲二

損か得かを はかるより
嘘か真(まこと)で 動きたい
自分自身に 嗤(わら)われる
生き方だけは したくない
男らしく 俺らしく

いいか悪いか 言う前に
好きか嫌いで 決めている
自分自身が ためされる
みんな承知さ 剣が峰
男らしく 俺らしく

失くしたくない 夢ならば
涙こらえて まわり道
自分自身で 嗅ぎ分けた
そんな標(しるべ)に 生かされて
男らしく 俺らしく


11.川

作詞:野村耕三
作曲:池山錠

川の流れと人の世は
澱みもあれば渓流もある
義理の重きを忘れたら
立つ瀬なくして沈むだ…黙って
おとこは川になる

風にこぼれた花びらを
浮かべて川に情がある
生きる辛さに耐えながら
人は優しさ恋しがる…忍んで
おとこは川になる

過去とうらみは流れても
流しちゃならぬ恩がある
他人の情けをかりながら
明日へ漕ぎだす舟もある…揺られて
おとこは川になる


12.のぼり坂

作詞:北川文化
作曲:原譲二

いつかおふくろ 言っていた
笑う門には 福が来る
人には寄り添い 馬には乗ってみよ
あっても苦労 なくても苦労
そんなもんだよ 人生は
いくつになっても なっても のぼり坂

今もどこかで 呼んでいる
声が聞こえる 日暮れ橋
世渡り下手だと 叱られながら
くじける心 一度や二度は
それも我慢の 人生さ
いくつになっても なっても のぼり坂

なにがいいのか 悪いのか
迷う世間の うらおもて
こんな男と 情けのおまえ
夢でもいいさ 夢みて生きる
ふたりあわせの 人生は
いくつになっても なっても のぼり坂


13.恩

作詞:倉内康平
作曲:陣内常代

大地に根をはる 草や木に
小さく咲いてる 花もある
世間と言う山 人の山
ひとつの魂ひとつのこころ この命
くらべて見るのさ 身の丈を

一度や二度やら つまずきは
誰にも何処にも あるはずさ
嵐に会う日も あるだろう
上から下へと吹かれて転び また立って
あせらずくじけず たくましく

この親あるから 今がある
お世話になったさ むくいたい
立派に生きたら 恩がえし
苦労の荷物はずしりと重い たえてゆく
かついで歩けば それも夢


14.年輪

作詞:関根縋一・石本美由起
作曲:原譲二

雪の重さを はねのけながら
背のびしたかろ枝も葉も
山に若葉の春がくりゃ
よくぞ耐えたと笑う風
苦労 年輪 樹は育つ

みどり絶やさぬお山の掟
守りつづけて子や孫に
強く伸びろと親ごころ
枝を切る木に血が通う
苦労 年輪 樹は育つ

いつか世に出て大黒柱
夢のようだか夢じゃない
願い重ねた歳月に
熱い想いが生きている
苦労 年輪 樹は育つ


15.俺らしく

作詞:麻こよみ
作曲:原譲二

世間の風の 冷たさに
悔し泣きした 夜もある
それでも夢を あきらめず
がむしゃらに ひたむきに 生きてきた
誓う男の 心意気
俺はやっぱり 俺らしく

ごめんといつも 言えなくて
苦労おまえに かけたまま
不器用者と わかっていても
強がって 意地張って 生きてきた
惚れた女は 一人だけ
俺を支えた おまえだけ

心は熱く これからも
失くしたくない 決めている
嵐の道で あろうとも
真っ直ぐに ひとすじに 生きて行く
今度生まれて 来る時も
俺はやっぱり 俺らしく


16.竹

作詞:野村耕三
作曲:原譲二

雪の降る日も 雨の日も
竹は節目で 伸びてゆく
人もまた 己れが道の一里塚
確かめながら 行けばいい
そこに出逢いも 彩りも
ああ…粛々と 行けばいい

月の世界に 憧れて
竹に託した 夢もある
人はみな 見果てぬ夢の夢灯り
しっかと抱いて 生きりゃいい
熱い想いを 温もりを
ああ…粛々 と行けばいい

花の咲くのは ただ一度
竹は寿命(いのち)が 尽きるとき
人もまた 上辺の花を飾るより
誠実(まこと)の花を 持てばいい
こころ豊かに しなやかに
ああ…粛々 と行けばいい